悠久の時を経ても当時の様子がそのまま残る特別天然記念物「焼走り溶岩流」

八幡平市にある焼走り国際交流村はキャンプ場やバンガロー、その他にも日帰り温泉などがある、自然を生かした楽しみ方が数多くできる観光名所となっています。近年ではコロナウィルス感染症の影響でアウトドア人口が増加し、キャンプが流行したこともあって、キャンパーの方々に広く指示されているアウトドアスペースでもあります。

特別天然記念物「焼走り溶岩流」が教えてくれる自然の広大さ

よく場所の大きさを示す際に「東京ドーム○個分」という表記を使うことがあります。この東京ドームの大きさは約4.6ヘクタールと言われていますが、この焼走り国際交流村の敷地にある国の特別天然記念物「焼走り溶岩流」はなんとその広さが「東京ドーム約32個分以上」の146ヘクタール以上という想像のできない広さになっています。

その昔、岩手山(標高2,036m/2023年10月現在)が噴火を起こした際に、現在の八幡平市西根側から見た岩手山特有のなだらかな山の裾野の斜面を、真っ赤なマグマが流れてきたそうです。その山の斜面を流れる赤いマグマを見た当時の人々は「焼けが走る」と表現したことから現在の地名である「焼走り(やけはしり)」という名称がついたとされています。

悠久の時が経過しても当時と変わらない貴重な風景

噴火当時から長い年月が経過すると、通常はその場所の風景も少しずつ様変わりしてゆくのが普通です。例えば風化することもあるでしょうし植物が群生することもあるでしょう。そのくらい自然の持つ生命力は強いと言えるのだと思います。

しかしこの地は、噴火した記録が年号で「享保」という気の遠くなるような時代に噴火したとされるにも関わらず、風化されることもなく、土壌が形成されて植物が群生することもなく、当時の噴火の様子を今へと残すことが貴重とされ、1944年(昭和19年)11月7日に国の天然記念物に指定されました。しかしその8年後の1952年(昭和27年)3月29日、表土や樹木に覆われることなく、地形的変化、地形的変動が認められないのは学術的にとても貴重だということで特別天然記念物に格上げされました。

自然界の色彩、音色の多さに気付かされる

近年、電子デバイスが進化し、私たちの生活の中に欠かせないものとなりました。それまでパソコンを使って様々な情報が見られていましたが、現在ではタブレット端末やスマートフォンなど、手元でいつでも、どこでも様々な情報を見ることも、買い物することもできるようになりました。しかしそれによって、デジタルによって作り出された色を見る機会が増えたと同時に、自然の色合いを見る機会が極端に減少したと思います。

この場所に立ってみて一番最初に感じることが、自然界にはこれほど多くの「黒」が存在するのかということでした。溶岩流は一面漆黒の世界。しかしその漆黒の中にも数多くの種類が存在するのだということを思い知らされます。また、静かなその世界では、自然の奏でる様々な音色が耳に飛び込んできます。風の音色、風で葉が揺れる音色、地面がきしむような音色、鳥のさえずり、その種類の多さに本当に驚かされます。

時には現代の世の中の電子デバイスから解放されて、自然の風景のひとつになって気持ちを落ち着かせてみる旅もまた良いのではないでしょうか。

人通りの多い岩手山へ誘う道「焼走り登山道」

この場所は岩手山の麓に位置している場所であり、登山シーズンになると登山に来られる方の人数もかなり多くなります。この焼走りにある「岩手山焼走り登山道」は、数多くある岩手山の登山道の中でもかなり人通りが多い登山道となっています。その為、万が一の事故などがあっても、他の登山客の方が多い為に助け合うことができる登山道のひとつですので、初心者の方も数多く訪れる場所になっています。自然の中で遊ばせてもらうということは危険も伴うことにもなります。その辺を充分に考慮して、やりすぎではないかと思えるくらいの事前準備をなさってお出かけ下さい。


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